山用に防水ポーチが欲しいな

となんとなく思っていた

 

 

引き出しの整理をしてたら

10年前に人から貰ったポーチが出てきた

 

 

10年前のその日

大学生だった私は昼頃

新宿行、各駅停車の電車の中

 

ガラガラの車内、ど真ん中に座っていると

次の駅で乗り込んできたおじさん、すぐ隣に座る

「なんでこの人こんな空いてるのに隣に座るんだ」イライラ

おじさん:あくびをしながら耳をほじり始める

「むーーー」イライラ

おじさん:ほじった耳クソを食べ始める

「ぬーーーー!!!!!!!」

思わず停車駅でホームへ降り立つ!

 

 

稲城駅

各駅停車しか止まらない、次の電車まで結構待つことに

「あーあ、よりにもよって稲城で降りてしまった、、」

 

ベンチに座ってぼーっとしていると

向かいのホームに下り電車、一人降りる

降りたその人、階段を上り、こちらのホームへ降りてくる

 

「ちょっとお伺いしても?」

「はい」

「東府中に行くにはどうしたらいいでしょうか?」

「ひがしふちゅう?東府中っていったら調布で乗り換えですよ、あれ、今あっちのホームから来られましたよね?」

「そう、さっき調布で乗り換えてきたんだけど、あらおかしいわと気づいて、慌てて降りたところなの」

 

~~~

結婚する孫の顔合わせの食事会があるため

ひとり群馬の田舎から東京に出てきた

ひとりじゃ大変だから無理しなくていいよと言われつつ

大切な孫の大切な会だからと意気込んで来たものの

電車も人も多すぎてにっちもさっちも

東京駅で駅員に聞いても訳が分からず

新宿駅で人に訊ねても冷たくあしらわれ

やっとここまで来たものの

やっぱりひとりで東京なんて無理だったかと自信喪失

~~~

 

「それは大変な思いをされましたね、

わたし分かりやすい所まで一緒に行きますよ!」

「あら、悪いわ、忙しいのに」

「すっごい暇ですよ!たまたまここで降りちゃって

電車ぜんぜん来ないから大学もどうせ遅刻だし!」

 

というわけで

よもやま話に花咲かせ

稲城から調布で各駅停車に乗り込むところまでお供

 

別れ際

「私は趣味で、フランスのアンティークの傘の生地でポーチを作っているのよ」

「へえーーーーー!素敵な趣味ですね!」

「これ、本当は孫の結婚相手の方にプレゼントしようと持ってきたんだけど、あなたにあげるわ」

「え、いいですよ!!そんな!」

「親切にしていただいて、本当に助かったから、受け取ってちょうだい!」

 

 

それで貰ったおしゃれなポーチ!

いろいろな偶然が重なって手に入れたポーチ!

しみじみ・・・、あれ、あのひと

フランスのアンティークの傘の生地で作ったって

って言ってたよな

てことは

これは防水じゃないか!

 

防水ポーチ持ってた!!!!!